AI半導体株下落も米ハイパースケーラーはAIデータセンター投資を加速、日米が協調介入で円高誘導、イラン週末戦争はまたTACOか(金融日記 Weekly 2026/7/24-2026/7/31)
公開日: 2026年8月2日 X
| TOPIX: | 4003.30, | -0.2% (1w), | +16.8% (YTD) |
| Nikkei225: | 64362.02, | -0.4% (1w), | +27.9% (YTD) |
| S&P500: | 7489.72, | +1.0% (1w), | +9.4% (YTD) |
| USD/JPY: | 160.18, | -2.2% (1w), | +2.4% (YTD) |
| EUR/JPY: | 181.49, | -2.6% (1w), | -1.2% (YTD) |
| Oil(WTI Futures): | 84.67, | -5.2% (1w), | +47.5% (YTD) |
先週(7月24日-31日)の株式市場は、韓国発のAI半導体株のパニック売りと、米ハイパースケーラーの好決算を受けた急反発が交錯する、極めて値動きの荒い一週間となった。週間ではTOPIXが0.2%、日経平均が0.4%下落した一方、MicrosoftとAmazonの決算が支えとなり、S&P500は1.0%上昇した。ドル円は日本の金融当局の介入があり週末にかけて円高が進んだ。日経平均は28日に4%近く下げた後、31日には4%高と急反発しており、週次の小幅安という数字からは想像できないほど激しい相場だった。
今回のAI半導体株の下落は、企業業績の悪化では全くなく、混み合っていたポジションの雪崩のような崩壊だ。AI関連株を買い上がってきたヘッジファンドのアンワインドに、個人投資家の信用取引や単一株レバレッジETFの強制決済が重なった。とりわけレバレッジが大量に残っていた韓国市場が下落を先導し、28日にはKOSPIが11%安、Samsung電子が13%安、SK hynixが15%安となった。元OpenAI研究者が率いるAI特化ファンド「Situational Awareness」も、AI株への集中投資とレバレッジが裏目に出て7月に67%下落し、保有上場株の大半をCitadelに売却することを余儀なくされた。業績は悪化どころか予想の鈍化さえ起きていないが、ポジションが壊れたのである。
メモリ半導体企業の決算は凄まじい。SK hynixのQ2営業利益は過去最高の60.5兆ウォン、営業利益率は76%に達し、HBM4の量産出荷も始まった。Samsung電子もメモリ事業が過去最高の売上高と営業利益を更新し、半導体部門だけで89.2兆ウォンの営業利益を稼いだ。キオクシアも4-6月期の売上収益1兆7671億円、営業利益1兆2700億円となり、生成AI向けデータセンター需要による販売価格の大幅上昇を報告した。数字だけを見れば驚愕の決算だが、これほどの利益成長は市場にもある程度予想されており、好決算だけでは強制決済の売りを止められなかった。
★キオクシア経営陣は、現在の株価がファンダメンタルから著しく乖離していると考えており、3ヶ月で最大8000億円という、巨額の自社株買いを発表した。
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2083500315748466786
一方、半導体を購入する側の決算は、AIデータセンター投資が減速するどころか、さらに加速することを示した。MicrosoftはAzureが43%成長し、顧客需要が利用可能な計算能力を上回っていると説明した。四半期の設備投資は410億ドルに達し、2年間で全体の計算能力を約2倍にする計画である。Metaも2026年の設備投資計画を1300億-1450億ドルへ引き上げ、AmazonはAWSが37%成長したことを受け、年間設備投資計画を2000億ドルから2200億ドルへ増額した。ハイパースケーラーはAI投資の回収を心配して設備投資を削るとの不安が、一部の(あまりAIや半導体に詳しくない)市場関係者の間で広がっていたが、むしろ真逆であった。需要に供給が追いつかず、さらに巨額の資本を投入しているのである。
メモリ企業では過去最高益が続き、その顧客であるハイパースケーラーは設備投資を一段と増やしている。これらの事実を踏まえれば、直近の暴落をAIバブルの崩壊の始まりと解釈するのは、あまりにも滑稽である。短期的には、信用買いの整理やファンドの換金売りがどこまで残っているか分からず、株価はファンダメンタルズを無視して乱高下するだろう。しかし筆者は、メモリ株をはじめとするAI半導体関連への強気の見方を全く変える気はない。
為替市場では、日米当局による事実上の協調介入というサプライズがあった。日本政府による大規模な円買い介入に続き、米財務省はニューヨーク連銀を通じて円買いに動いたと報じられ、ドル円は一時157円台まで急落した。正式な共同発表は週明けになる見通しだが、実現すれば円買い方向の日米協調介入としては15年ぶりとなる。ベッセント財務長官の机上に置かれた円買い介入のメモまでロイター記者のカメラに写り込むという猿芝居も含め、日米両政府が投機的な円売りを牽制する意思を市場へ見せつけた格好である。
恒例となったトランプ大統領の「週末イラン戦争」だが、今回もTACOになりそうである。イランのエネルギー施設への大規模攻撃が検討されていたものの、トランプ大統領は週末、ホルムズ海峡の全面再開などを巡る合意に時間を与えるとして、新たな攻撃をいったん見送った。もっとも、イラン側は米国に停戦を求めたとの説明を否定しており、正式な合意は成立していない。ミサイルや迎撃弾の消耗、湾岸諸国の米軍基地やエネルギー施設への報復リスクを考えれば、軍事的な制約によってTACOらざるを得ない面もある。原油価格はひとまず下がったが、中東の供給リスクが消えたわけではない。
今週は、3日の米ISM製造業景気指数、5日のISM非製造業景気指数を経て、7日の米雇用統計が主なマクロイベントとなる。企業決算では4日のAMDで、米巨大テックの決算ラッシュがほぼ締めくくられる。日本でもトヨタ、三菱重工、ソフトバンクグループ、任天堂、レーザーテックなど重要企業の決算が続くため、為替介入後の円相場と合わせて、市場の焦点は日本企業に移る。
●アジア半導体株が急落、AI投資と中国勢との競争を警戒
https://jp.reuters.com/markets/japan/PIWEXZRMHRO3NL2TZDJ5HYMYLE-2026-07-28/
●韓国株急落が米半導体株にも飛び火。アジア発の「パニック売り」はなぜ繰り返されるのか
https://www.businessinsider.jp/article/2607-stock-market-today-chip-memory-selloff-south-korea-kospi-index/
●AI特化ファンド「シチュエーショナル・アウェアネス」 7月は67%下落
https://jp.wsj.com/articles/situational-awareness-down-67-in-july-in-ai-stock-rout-b61aa217
●元OpenAI研究者のファンド、AI株で損失拡大 シタデルが保有株取得
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30CUQ0Q6A730C2000000/
●政府・日銀が円買い為替介入、一時157円台 NY連銀はレートチェック
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30CSI0Q6A730C2000000/
●米当局、円買い介入か NY円、157円台前半に急伸 円安是正で足並み
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026080100180
●日米が15年ぶり協調介入 円安阻止で思惑一致、片山財務相が3日表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA020KQ0S6A800C2000000/
★ベッセント長官のデスクの上に乗せた「円買い介入」のメモがロイターに報じられるという猿芝居まで飛び出した。
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2083483220130300397
●トランプ氏、イランのエネルギー施設「大規模攻撃」見送り表明…戦争犯罪となる可能性で政権内に反対意見
https://www.yomiuri.co.jp/world/20260802-GYT1T00093/
●トランプ氏、対イラン攻撃を中止 ただし迅速な合意成立が条件
https://www.cnn.co.jp/usa/35251200.html
★恒例のイラン週末戦争では、トランプ大統領がまたTACOったが、ミサイル枯渇や予測されるGCC諸国の米軍基地へのイランの報復攻撃など、軍事的な制約でTACOらざるをえない、とも言えそうだ。
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2083772005019709813
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●DRAM+HBM / NAND 世界工場別供給・製品別需要ボトムアップ予測モデル(Xサブスク)
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●SK hynix 2026 Q2決算 過去最高利益と供給制約の現在地(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2082362663787540935
●Microsoft 2026 Q4 決算 クラウド成長とAI投資のバランスシート(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2082400336527216655
●Meta 2026 Q2 決算 1250〜1450億ドルCapExの行方(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2082408991314129142
●サムスン電子2026年Q2決算 HBM4・長期供給契約・増産計画の全貌(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2082696471888195775
●Apple 2026 Q3 決算 メモリ価格急騰下の業績と今後の見通し(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2082776716418654713
●Amazon 2026 Q2 決算 2,000億ドルAI投資の行方 (Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2082803017339036040
●2027年3月期Q1キオクシア決算 営業利益日本一への軌跡(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2082812546692813066
●AMD 2026 Q2 決算 エージェントAIは高いP/Eを正当化できるか(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2083456932262895987
米個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/24-2026/07/31)

出所: Google Finance, Yahoo!Finance
香港個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/24-2026/07/31)

出所: Google Finance, Yahoo!Finance
日本個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/24-2026/07/31)

出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移

出所: 日経新聞社
直近1年のドル円とユーロ円の推移

出所: セントラル短資
イールドカーブ (2026/07/31)

出所: Bloomberg.com
主要通貨の週間パフォーマンス (2026/07/24-2026/07/31)

出所: セントラル短資
直近1年のS&P500種指数と原油価格の推移

出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com
地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD] (2026/07/24-2026/07/31)
![地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]](charts/Chart20260802_WrdEquity.png)
出所: iShares, Bloomberg.com
今週のマーケット・イベント
8月3日(月)
日7月新車販売台数
日7月軽自動車新車販売台数
米6月建設支出
米7月ISM製造業景気指数
中国7月RatingDog製造業購買担当者景気指数(PMI)
決算:三菱UFJ、三菱商、伊藤忠、丸紅、LINEヤフー、大和証、協和キリン、JAL、他
8月4日(火)
日7月マネタリーベース
日10年国債入札
米6月貿易収支
米6月製造業受注
米6月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
決算:トヨタ、三井物、三菱重、ソフトバンク、ダイキン、イビデン、日本製鉄、横河電、ヤマハ発、住友化、日清食、AMD、Caterpillar、Pfizer、他
8月5日(水)
日銀金融政策決定会合の議事要旨(6/15-16開催分)
日6月毎月勤労統計
米7月ADP雇用統計
米7月ISM非製造業景気指数
決算:アステラス薬、スズキ、IHI、鹿島、花王、ローム、太陽誘電、JR西日本、資生堂、明治、三井化学、メルカリ、Eli Lilly、Uber、Walt Disney、Sandisk、他
8月6日(木)
日7月都心オフィス空室率
日30年国債入札
決算:ソフトバンクG、NTT、任天堂、味の素、富士フイルム、レーザーテク、住友不、レゾナック、古河電、KOKUSAI、東レ、サントリーBF、SUMCO、楽天銀行、東急不、他
8月7日(金)
日6月家計調査
日6月景気動向指数
米7月雇用統計
米6月消費者信用残高
中国7月貿易収支
決算:リクルート、KDDI、フジクラ、日本郵政、第一ライフ、INPEX、三井不、ENEOS、日ペイント、川重、キリン、商船三井、三井金属、出光興産、ゼンショー、他
8月8日(土)
8月9日(日)
中国7月消費者物価指数(CPI)
中国7月生産者物価指数(PPI)