AlphabetはAI設備投資を最大2050億ドルへ増額、やや値を戻したメモリ株と売られたハイパースケーラー、Kimiが揺さぶる米国AI覇権(金融日記 Weekly 2026/7/17-2026/7/24)
公開日: 2026年7月26日 X
| TOPIX: | 4011.31, | +2.3% (1w), | +17.1% (YTD) |
| Nikkei225: | 64611.15, | +0.7% (1w), | +28.4% (YTD) |
| S&P500: | 7411.98, | -0.6% (1w), | +8.3% (YTD) |
| USD/JPY: | 163.79, | +0.9% (1w), | +4.7% (YTD) |
| EUR/JPY: | 186.24, | +0.3% (1w), | +1.4% (YTD) |
| Oil(WTI Futures): | 89.31, | +8.3% (1w), | +55.5% (YTD) |
先週(7月17日-24日)の株式市場は、前週の半導体株暴落からの自律反発と、AI投資の採算性を巡る売りが交錯した。週間ではTOPIXが2.3%、日経平均が0.7%上昇した一方、S&P500は0.6%安だった。日本では三菱商事(+10.6%)、三菱UFJ(+8.1%)、東京海上(+7.8%)など大型バリュー株が買われ、TOPIXが日経平均を大きく上回った。ドル円は163円台へ円安が進み、WTI原油先物は8.3%上昇した。
そして、注目のAI関連だが、Micronは8.5%、キオクシアは7.5%上昇した一方で、Alphabetは7.8%、Metaは7.9%、Amazonは6.1%、Oracleは9.0%下落した。
Alphabetの決算は、事業面では非常に強かった。売上高は前年同期比24%増の1198億ドル、Google Cloudは82%増の248億ドルとなり、Cloudの営業利益率は35.6%まで上昇した。さらに2026年の設備投資計画を従来の1800億-1900億ドルから1950億-2050億ドルへ引き上げた。AI需要が弱いから投資を減らすのではなく、需要に供給が追いつかないため、さらに増額したのである。そして、その結果、Q2の設備投資449億ドルが営業キャッシュフローを上回り、フリーキャッシュフローは赤字となった。Cloudの高成長によってAI需要の実在は証明されたが、株式市場が次に求めているのは、この巨額投資が資本コストを上回るリターンを生むという証明である。そのためAlphabet株は売られたが、設備投資の恩恵を受けるMicronやキオクシアには買い戻しが入った。
Intelの決算も強かった。売上高は25%増の161億ドル、調整後EPSは0.42ドルで、データセンター・AI部門は59%増収となった。Q3ガイダンスも市場予想を大きく上回り、2026年の設備投資を200億ドル超へ増額した。先のASML、TSMC、今回のAlphabet、Intelまで、各社が揃って示しているのは、AI半導体の注文不足ではなく、需要に応えるための工場、装置、メモリ、電力が足りないという現実である。
一方、中国Moonshot AIのKimiが米国最先端モデルに迫る性能を示し、オープンウエイトでの公開も予定されていることは、米国AI企業の将来収益に不安を抱かせた。十分なGPUとメモリを持つ企業なら、米国企業のAPIへ料金を払い続けず、自社環境で高性能モデルを運用できるからだ。米国では中国製オープンモデルを規制しようとする動きもあるが、週末にはNVIDIAのジェンスン・フアンCEOがXで、オープンモデルへの包括的な規制に反対する立場を示した。
また、中国AIの勃興はモデル層だけにとどまらない。中国最大のメモリ半導体メーカーであるCXMT(長鑫メモリ)は27日に上海証券取引所の科創板へ上場する。IPOによる調達額は579億2000万元(約86億ドル)と、今年のアジア最大規模で、追加売り出しがすべて実施されれば666億1000万元に達する可能性がある。調達資金はDRAMの生産能力増強や研究開発などに使われる。これは世界的なAI設備投資とメモリ需要の強さを裏付ける一方、長期的にはMicron、SKハイニックス、Samsung電子など既存大手に対する中国勢の競争圧力が強まることも意味する。
筆者が週刊金融日記第738号で書いたように、ハイパースケーラーは巨大なAIデータセンターを建設し、トークン処理を世界へ販売するビジネスである。Google Cloudの82%成長と高い利益率は、この事業にも十分な収益性があることを示した。中国モデルとの競争激化は価格を下げる可能性があるが、同時に世界で生成されるトークン量を増やし、計算資源への需要をさらに押し上げる。したがって筆者は、AIデータセンターへの設備投資は今後も加速し、AI半導体株、とりわけメモリ半導体企業に対して強気の見方を維持している。
中東では米軍機の増派からイランへの大規模攻撃が懸念され、原油価格がさらに上昇したが、週末にはトランプ大統領らが戦争激化への懸念を示し、攻撃はいったん保留されたと報じられた。またしてもTACOが期待されているが、正式な停戦ではなく、原油のリスクプレミアムが簡単に消える状況では、まだないだろう。
今週はMicrosoft、Meta、Amazon、Appleの決算が相次ぐ。注目点は、各社がAlphabetと同様にAI設備投資を増額するか、そしてCloudとAI事業の利益が投資負担に見合っているかである。設備投資増額と収益化の両方が確認されれば、直近のメモリ半導体株の急落は絶好の押し目だったことになる。
★Xサブスクで、Alphabet、IntelのAIによる決算分析や、AIバブルの現在位置について筆者とAIの対談記事が読めます。購読希望の方は、AppleにピンハネされるiPhoneアプリからではなく、ぜひスマホやPCのブラウザからXのサイトを開き、そこで直接サブスクリプションを登録して、イーロン・マスク氏の宇宙開発も同時に応援してください。
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2075118477493592406
●Alphabet 2026年Q2決算 Cloud 82%成長が示した「AIデータセンター需要の実在」と、通期CapEx最大2,050億ドルへの再増額が突きつけた「投資回収」の問い(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2079478672936059339
●2026年Q2決算 米ファウンドリ復権と18A量産の現在地:15年ぶりの高成長は本物か(Xサブスク)
https://x.com/kazu_fujisawa/status/2079814463444902274
●中国AI・Kimiの衝撃、米専門家「アンソロピック最新型と僅差」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN17CN50X10C26A7000000/
●What is China’s Kimi K3 and why is the US so rattled by it?
https://edition.cnn.com/2026/07/23/tech/china-ai-moonshot-kimi-explainer-intl-hnk
●中国メモリ大手CXMT、27日上海上場 アジアで今年最大のIPO
https://jp.reuters.com/economy/LNDNSV4I3FORHERTQSXSHMFHW4-2026-07-24/
●週刊金融日記 第737号 Micronと立場が逆転したAppleが泣きつく中国のDRAM企業CXMT(長鑫メモリ)について解説します、他
https://www.kinyuunikki.com/newsletter/Vol737-20260629-CXMT.html
●週刊金融日記 第738号 AI企業はトークン製造工場を建設してトークンを世界に売る簡単なビジネスです、他
https://www.kinyuunikki.com/newsletter/Vol738-20260707-AIAsATokenFactory.html
★ジェンセン・フアンの最初のポストが、オープンモデルへの規制に反対するものだった。
https://x.com/JensenHuang/status/2080643682408321103
●American refueling tankers to be stationed in IDF bases, Ramon Airport as US reinforces Middle East
https://www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-902950
●米副大統領ら、イランとの戦争激化に懸念示す 攻撃は「保留」と国防総省関係者
https://www.cnn.co.jp/usa/35250970.html
米個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/17-2026/07/24)

出所: Google Finance, Yahoo!Finance
香港個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/17-2026/07/24)

出所: Google Finance, Yahoo!Finance
日本個別銘柄の週間パフォーマンス (2026/07/17-2026/07/24)

出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移

出所: 日経新聞社
直近1年のドル円とユーロ円の推移

出所: セントラル短資
イールドカーブ (2026/07/24)

出所: Bloomberg.com
主要通貨の週間パフォーマンス (2026/07/17-2026/07/24)

出所: セントラル短資
直近1年のS&P500種指数と原油価格の推移

出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com
地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD] (2026/07/17-2026/07/24)
![地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]](charts/Chart20260725_WrdEquity.png)
出所: iShares, Bloomberg.com
今週のマーケット・イベント
7月27日(月)
6月企業サービス価格指数
米6月耐久財受注
米2年国債入札
米5年国債入札
独7月Ifo景況感指数
決算:キヤノン、他
7月28日(火)
米FOMC(-7/29)
米5月ケース・シラー住宅価格指数
米5月住宅価格指数
米7月リッチモンド連銀製造業指数
米7月消費者信頼感指数
米7年国債入札
決算:キーエンス、スクリン、日東電、他
7月29日(水)
ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長会見
決算:日立、アドバンテ、コマツ、野村、Microsoft、Meta、SK hynix、他
7月30日(木)
日銀 金融政策決定会合(-7/31)
日7月消費動向調査
日2年国債入札
米4-6月期GDP速報値
米6月個人所得
米6月個人消費支出(PCE)
決算:東エレク、みずほ、JT、パナソニック、武田、富士通、京セラ、Apple、Amazon、他
7月31日(金)
中国7月製造業購買担当者景気指数(PMI)
決算:キオクシア、三井住友、ソニーG、村田製、三菱電、HOYA、住友商、ルネサス、住友電、ファナック、TDK、デンソー、第一三共、JR東日本、JR東海、SBI、ExxonMobil、Chevron、他
8月1日(土)
8月2日(日)